お茶も農作物である以上、当然年度によってその個性に違いがあります。
狭山茶農家 ささら屋2021年度茶の個性のご紹介の第4弾は、和紅茶『かえで』の個性をご紹介したいと思います。
渡り鳥のツバメが目印の和紅茶『かえで』。
こちらは、弊農園の「さやまかおり」の一茶半※1を発酵させて作った和紅茶になります。
※1一茶半:一番茶の収穫後、二番茶に向けた整枝を行う前に、遅れて伸びてくる芽を収穫したもののこと。
さて、弊農園で1、2を争う人気茶の『かえで』の今年の出来上がりはと言うと、
「ほどよい香りとほどよいあまみ、すっきりと飲みやすい味わい」
に仕立てあがっております!
しかし。
上述の通り、最終的には自信を持って皆さんにお届けできるおいしい和紅茶に仕立てあがったものの、実は今年は紆余曲折がありました…!
正直に言ってしまうと、今年の「さやまかおり」の一茶半の生葉※2は、自分たちの理想とする“よい仕立て上がり”には至りませんでした…。
一茶半の遅れ芽の伸びが悪く、摘採時期の問題もあって少し硬い葉が多くなってしまったことで、萎凋・発酵を行う段階では例年よりも香りの弱いお茶になってしまっていたのです(今年の一番茶後の茶園の管理は、本当に反省しきりです…)。
※2生葉:茶園で摘み取ったままの、加工を施す前のお茶の葉。
そこで、今年度は例年実施しない和紅茶の茶葉の粗粉砕を実施。
色・味・香りがでやすいように茶葉をかるく砕くとともに、風選・色選※3にかけて良い所の茶葉を取り出す工程をより厳しく行いました。
※3:風の力で粉やケバといった軽すぎる茶葉を飛ばす作業が風選。茎や古い葉など、色味の違う葉を取り除くのが色選。行うほど製品茶の歩留まりは悪くなるが、より質の良い茶葉をより分けることができる。
結果的に、粉砕前は不十分だったあまみ・香りは従来品に劣らない質となり、むしろ例年よりもすっきりした飲み口に仕上がった訳です。
(『怪我の功名』と言うべきか、加工にお力添え下さっている先輩農家の横田さんには本当に頭の上がらない思いです)
色合いも含めて、くしくも今年度のお茶の中で一番「年度による違い」を感じてもらえる仕上がりになった和紅茶の『かえで』。
2020年度と2021年度を並べて比べてもらうと、本当に個性の違いを感じてもらえると思いますので、ぜひとも各年度の『かえで』を飲み比べて楽しんでみてください!
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